|
【過大評価された相続財産】
年間の死亡者数は90 万人前後に対し、相続税を支払うのは5 万人ぐらい。
納税にあたっては、税理士などの専門家に依頼するのが一般的だが、相続の案件が日常的にあるわけではなく、結果として納税しなくてもすんだ人を含めたとしても、決算や確定申告の仕事と比べれば桁違いに少ないはずだ。
経験が少ないことから、資産を過大に評価してしまうことも現実にはあるそうだ。これは、相続財産の7 割程度が土地だという実態を反映している。
評価の方法が複雑なため適切な評価額を算出 できない例もある。
土地の評価は、市街地形態の土地であれば、以下の「路線価方式」で求める(それ以外は「倍率方式」)。
土地の評価=路線価価格×土地の面積これは該当する土地が一方向に面している場合で、実際には土地の形状に応じて画地調整率を用いる。
角地や2 方向の道路と接していたり、奥行きの深い長方形の土地なのかで評価額は異なる。
平面図だけを見て、ストレートに前記の公式に当てはめ、申告してしまうようなケースも稀れにある。
これはケアレスミス以前の問題だが、多めに申告したものを税務署が修正してくれることはなく、そのまま受理となる。
では、納め過ぎた税金はどうすればいいのか。
これにはタイムリミットがある。申告後5 年以内なら、一応、還付を請求できる。
「一応」というのは、1 年以内であれば「更生」で済むが、1 年を越えると「嘆願書」を税務署長あてに提出しなければならないからだ。
簡単に言ってしまえば、「更生」は申告書の内容が間違っていました、と修正するもので、受理そのものは無条件だが、「嘆願書」は文字通り嘆いてお願いするもので、受理されるとは限らない。
|
|
【死亡保険金を支払った先へ】
相続と生命保険は密接な関係にある。被相続人の死亡が保険事故となり、保険金の請求を受ける
からだ。担当者にとってこの情報は貴重だ。
昨今は、葬儀の多様化も進み、セレモニーにこだわらない風潮もある。近所つき合いでもなけれ
ば、主が逝ってしまったことが分からないこともあるからだ。
たしかに、死亡保険金の支払いは、1 募集人単位で見れば、毎月経験するようなことではない。
勤続20 年、お客さまの数も1,000 人を越すといった営業職員ですら、1 度も死亡保険金の請求
を受けたことがない、という例もあるぐらいだ。
最近、死亡保険金を支払った経験があるのなら、相続税を納めたか否かを確認し、再計算を勧
めてみてはどうだろうか。生保関係者ならではのアドバイスだといえる。
もっとも、顧問先の税理士にどう相談すればいいのか、厄介な問題が残る。ただ申告が間違って
いるわけでなく、解釈の違いということもある。
申告時にセカンド・オピニオンとして不動産鑑定士などに評価を依頼する方法もあるのだろうが、
よほどの資産家でなければそこまではできない。
普通はだれがやっても答えは同じだと思っているので「こんなものか」で済ませてしまうのだろう。
ある税理士は、平成元年の地価税導入を境に、土地の評価が複雑になり、通達も増えた。
これ以降の情報を的確に整理・フォローしているかによって、評価額が変わる可能性もある、という。
申告の修正については、当然専門家が検証しなければならないので、費用がかかる。
ただ、こうした見直し事業を専門にやっている会計事務所の中には、還付の場合のみ報酬を受け取るようなシステムを導入しているところもある。
修正の結果、納税額の半分程度還付になるケースも結構あるようだ。
相続の発生前から2 次相続についても対策を立てている人も少なくないが、納税額の半分が還付
になれば、自ずと2 次相続の財産が増えることになる。
しかも現金が増えることへの対応は十分か。保障見直しの好機ともなる。
|
|
【Excel のシートを活用する】
路線価を調べたら、別掲のE x c
e l のシートに数字を入れてみよう。
1 は宅地用の事例。一方向の道路と接しているもので、公式に当てはめればいいだけなので、土地面積の欄に「150 」m 2乗 と、路線価の欄に「255,000
」円と入力すると、評価額として「38,250,000 」円が表示される。
小規模宅地等の減額(80 %)した額が「17,442,000 」円と出てくる(ただ3 で示したように、土地を3 ヵ所所有しており、うち2
つを小規模宅地の特例で事業用宅地で優先して計算し調整しているため単純に80 %減額にはなっていない。
図の注釈参照)。その横に減額になった「20,808,000 」円を記載している。
また、欄外には小規模宅地等の減額の要件が記してあり、それを満たさない場合、特定特例対象
地として50 %減額した額を併記している。
2 の事業用の事例は、奥行きの補正「0.98 」を入力する一方、反対側も道路に面していることからその分の加算を行っている。
イ)とロ)を足した最終的な評価額は「87,446,000 」円。さらに小規模宅地の減額の特例を適用し「17,489,200 」円の評価額を出している。
同じように、欄外には80 %減額の要件を満たせず、50 %になった場合の評価額が示してある。
これらは単体のシートとして提供するものだが、合わせていくらになるのか一覧表にしたものが3 である。
これはシートからリンクを張って計算結果を持ってきているだけだが、「平米」ではイメージがつかみにくいというのが一般的なので、3.30578
をかけて「坪」としても表示してある。
シートの上段にもかっこ書きしてあるが、これも同様の理由による。
こうして評価額を求めた後は、前回提供した相続税の算出シートに数値を打ち込み納税額を提示する。
アプローチの準備が、前回と今回で逆になったが、いずれも単体で使えるものである。
今回のシート作成には、小規模宅地等の要件部分で「I F 関数」を使っているだけなので、作り方そのものは解説しないが、一度作っておけば、何回でも使える上、保存しておくことで、見込客の付属資料としてデータベースにもなる。
|
|
【一時払商品の引き受けに制限】
ところで、相続がらみの話法の常套句に「死亡保険金500 ×法定相続人」を非課税分として勧めるものがあるが、ここにきて取り扱える商品が限定されてきているようだ。
法定相続人が3 人だとして、一時払終身保険で1,500 万円は可能だが、一時払養老保険や
一時払の個人年金保険などは引受保険料を300万円以下にするなどの動きが出てきた。
運用環境が厳しいなどの理由によるが、ペイオフがらみで大量の資金が流入する影響も考えてのことだろう。
名実ともに保障性の商品で準備しなければならなくなってきた。非課税分ギリギリに掛けるケースも多いが、リビングニーズ特約と絡ませて保障額をアップすることもできる。
4,500 万円の保障額のうち、3,000 万円はリビングニーズで先進医療などの治療費に充当してもらう。この分は非課税なので、4,500
万円全てが非課税になる可能性があります、といったトークも成立する。
|