勝ち組みのプロ代理店になる -5-

解約返戻金の優劣販売はニーズとミスマッチ
プラスアルファの話法や工夫で差別化を図る

【ニーズを見極めよう】
 解約返戻金を前面に出した販売が転換点を迎えようとしている。 大手生保も逓増定期保険に参入し、今後、売り上げを拡大していくには、保険本来の機能をどうニーズと結びつけていくかにかかわっている。返戻率の善し悪しが基本になることは、変わりないものの、プラスαの話法をどう組み立てていけばいいのかが問われている。

ある条件でA 社の返戻率がいいとなれば、A 社に登録している代理店は、一様にその商品でアプローチすることになるが、返戻率だけのトークなら、誰と契約しても同じことになってしまう。
 そもそも、役員向けの保険というと、退職金原資をどのように準備していくかに焦点を充てがちだが、長引く不況が影響してか、ニーズの二極化が進んでいる。ここを見紛うと成約のチャンスを逃す。

 1 つは従来通り「役員退職金」と「死亡した場合の事業保障」で、もう1 つは「死亡した場合の事業保障」だけというパターンで、最近は後者を望む声が多くなっている。しかも保険期間10 年の定期保険だ。更新時に保険料が上がっていくことを説明するが、とりあえず目先の保険料負担を軽減したいという。保険料の支払いもほとんどが月払いだ。

 多くの経営者は、業績が大幅にダウンしても、無保険の状態は怖いと感じている。最低限の事業保障−−借入金の返済分、従業員の給与、運転資金、買掛金などは、保険料を払える範囲で保障を得ようとする。
 事業保障の費用として、どの程度保険金を用意すればいいか、具体的に計算もするが、あらかじめ「これとこれ」といった感じで、保障したい金額や項目が明確になっている。

 いずれにしても、お客さまのニーズがどちらにあるのか、見極めるようにしたい。

法人向けにお勧めするときのプランニングポイント
定期保険
長期平準定期保険
逓増定期保険
・事業保障(債務返済、法人清算金)
【勇退時期が決まっている】
・死亡退職金、弔慰金準備
・事業承継資金(自社株買取)
・事業保障(債務返済、法人清算金)
【勇退時期が決まっていない】
・死亡退職金、弔慰金準備
・勇退退職金準備
・事業承継資金(自社株買取)
・事業保障(債務返済、法人清算金)
【勇退時期が決まっていない】
・死亡退職金、弔慰金準備
・勇退退職金準備
・事業承継資金(自社株買取)
終身保険
養老保険
個人年金保険
・事業保障(債務返済、法人清算金)
【勇退時期が決まっていない】
・死亡退職金、弔慰金準備
・勇退退職金準備
・事業承継資金(自社株買取)

【勇退時期が決まっている】
・死亡退職金、弔慰金準備
・勇退退職金準備

 保 険金の受取人の形態で保険料の1/ 2 を損金に
(福利厚生プラン)

【勇退時期が決まっている】
・勇退退職金準備
保 険金の受取人の形態で
保険料の1/10 を損金に
(福利厚生プラン)

【役員退職金を勧めるケース】
 役員退職金のニーズがある場合には、いつ資金が必要なのかによって勧める商品も違ってくる。 あと10 年前後で勇退予定の場合は逓増定期がメーンになるし、若い経営者で30 年近い期間があるのなら長期平準定期ということになる。

 こうした目安と、保険料をどう経理処理したいのかは別問題だ。例えば、短期の逓増定期は全額損金算入できるが、バブル期のように今期も来期もずっと黒字が続くと思えるような時代ではなく、たとえ今期が黒字だろうとも、利益を圧縮したいというニーズがそんなに強いわけではない。将来の資金繰りに対し非常に慎重になっている。ここも1 つのポイントになる。誰もが損金話法をすんなりと受け入れる時代ではないのだ。

  もちろん、中には損金算入にこだわる経営者もおり、それは経営観として尊重するが、一言、勇退前に保険事故が起きたとき保険金が雑収入として上がってくるリスクを必ず説明するようにしている。

 損金算入といっても利益の繰り延べでしかなく、この点を意外と誤解している。入口と出口どこで税金を払うかの違いだということをクリアに「資産計上の商品にして欲しい」という要望には、臨機応変で対応していくが、終身保険をかませていくのが一般的だ。
  養老保険という選択もあるが、終身保険に比べた場合の保険料、解約返戻率の差、保険期間の自在性(勇退時期のぶれなどに対応)など一長一短を勘案すると、終身保険を選択一般的ではないが、個人年金保険で成約になったケースもある。

 ある程度規模がある会社などで、きっちりと定年が決まっている場合は、コストパフォーマンスの良さに注目してもらう。保険料も全額資産計上になるので、バランスシートをある会社が、役員退職金を見直す動きを受け、同社に出入りしている代理店や営業職員がそれぞれに提案したのだが、結局、個人年金保険に落ち着いた。

 理由は前記の通りだが、それ以前の問題として、法人契約で個人年金に加入できる会社が少ないことが挙げられる。
 弊社で登録している保険会社では2 社しか取り扱うことができなかった。登録または所属している保険会社では法人契約が付加の場合は仕方ないとして、登録していながら見落としている例も見受けられた。個人年金保険など端から眼中になかったのだろう。
 複数の保険会社と委託契約をしていると、売れ筋の商品にしか目がいかなくなってしまう。ラインナップに埋もれた商品でお客さまの心を掴めることもあるのだ。

【逓増定期保険の落としどころは】
 逓増定期保険は、返戻金が必要になるまでの期間を長短使い分けることができるが、私どもでは2 代目の事業承継などに絡める場合が多い。

 ある中小メーカーの社長は勇退にともない、45歳の専務を社長に昇格させた。規定では70 歳定年だったが、ある時、70 歳まで働いたら苦労をかけてきた妻に何もしてあげられない、と5 歳ほど早め65 歳で勇退、長男に任せることにしたのだ。

 そんな話しから2 代目社長の定年も65 歳にして、逓増定期保険のプランニングを立てることになった。逓増定期保険の場合、訴求ポイントは必ずしも退職金ばかりでなく事業保障もあり、話法の展開も異なってくるが、ここでは返戻率を気にかけているので、商品タイプによってどういった順序になるのかシミュレーション表を見せることからはじめた。

 単利・複利の違い、利率の違いなどで大きく結果が違ってくることを理解してもらう。65 歳と66 歳の1 歳の差であっても、タイプが異なると順位が入れ替わるので、その辺りの説明もしたいところだ。

 月払保険料50 万円で20 年後に解約し、勇退金に充てることを想定すると、1 番返戻率がいいのは「複利5 年ごと 30 %=75 歳満了」タイプで単純返戻率は67.5 %、2 番目は「複利毎5 %=75 歳満了」タイプで66.0 %、3 番目は「複利5 年ごと 30 %=74 歳満了」タイプ61.1 %……と続いていく。

 ところで、前記は長男だったが、今の時代、長女が社長になってもおかしくない。役員保険というと男性が圧倒的に多く、女性を扱うのは希なのだが、国内大手会社を除いては、返戻率が男性に比べ低いのが通常なので、会社選択を誤らないようにしたい。

 死亡率が低い分、保険料が安いので、返戻率も抑えられているということなのだろうか。女性だけの事業を営んでいる会社もあり、お客さまに保険会社の情報を正確に伝えたい。

法人向け商品の65 歳時返戻金受取額・率の比較
50 歳/男性 法人加入 保障額単位:万円 保険料・受取額単位:円  
 
定期
長期平準
逓増
終身
養老
個人年金
保障額(初年度)
10,000
10,000
3,000
10,000
10,000
440
保険期間
70 歳
100 歳
90 歳
終身
70 歳
70 歳開始
保険料払込期間
70 歳
100 歳
90 歳
70 歳
70 歳
70 歳
月払保険料
101,700
235,000
218,370
349,700
421,400
361 ,000
保障額
10,000
10,000
5,940
10,000
10,000
6,597
払込保険料累計
1,831
4,230
3,931
6,295
7,585
6,498
65 歳時受取額
415
3,439
3,950
5,467
6,962
6,568
返戻率
22.7 %
81.30 %
100.48 %
86.85 %
91.78 %
101.07 %
実質返戻率
38.34 %
102.18 %
111.91 %
86.85 %
91.78 %
101.07 %

【シミュレーションのしやすい会社】
 お客さまへのアプローチとは直接関係ないが、保険会社から提供されるソフトに、どの程度のシミュレーション機能がついているかは会社選択のポイントになる。担当者に依頼しないと用意できない保険会社と、目前のパソコンから一覧表が出力される保険会社とどちらを優先するはかいうまでもない。

 こちらから推奨プランを絞り込んで、1 、2 本のプランで押し通していくのなら、手間暇のかかるシュミレーションなどは不要かもしれないが、こちらが十分説明し、お客さまに選択してもらうというスタンスを取るなら必須アイテムだといえる。
  また、逓増定期保険など細かくタイプの分かれているものは、それぞれコミッションも違ってくるが、クロージングに近い段階で、それを気にするようなことはしない。そもそもシミュレーションを見せ、選択してもらうような意志決定プロセスを重視している以上、コミッションの要素を入れる余地がない。
 コミッションを多く得たければ、見込み客発掘の段階で絞り込むべきだろう。

【若くして起業した社長は】
 役員退職金のニーズでいえば、若くして会社を興した社長は、20 年ぐらい経って、これから15年、20 年後に受け取れるだけの退職金原資がない、との現実に愕然とするケースがある。

 がむしゃらに働いて従業員や家族を守ってきてた代償がないことに気付く。「まだ、間に合いますよ」と畳みかけていくが、さて、退職金をいくらに設定すべきか。
  通常は、一般的な算式を用いて、最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率で求めるが、あるとき、こんな質問をうけことがある。

 「自分は25 歳で独立したが、10 年間は個人経営で、法人化したのは35 歳だった。この10 年はカウントされるのか」
算式はあくまで目安といわれているが、税務署に問い合わせた限りでは「含めることはできないだろう」との返答だった。

 これは、法人が個人を慰労するためのものであって、個人が個人を慰労することはできない、というのだ。
 この使用人であれば問題はなさそうだが、いずれにしても、個人の10 年間を引いて計算をしても必要十分な金額になったので問題はなかったが、個人で25 年やってきて、勇退の5 年前に法人にしたような場合はどうなるのか。
 また、保険に入れば役員退職金がもらえるかといえば、役員会・株主総会の決議が必要になる。

 将来、どんな体制になっているのかも見極める必要がある。解約返金がそのまま退職金になるわけではないことを知ってもらう。
 事業規模が小さくなればなるほど、自信を持って「後継者がいる」と言える経営者がいない。
  その裏返しなのか「保険に入ったはいいが、本当に、退職金がもらえるのだろうか」と言う社長を何人も目の当たりにしてきた。しかし将来のことは誰も予想ができない。

 私どもで言える対策は1 つしかない。
 「どうしても不安でしたら、個人契約でもご加入しておいてください」。

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