勝ち組みのプロ代理店になる -3-

お客さまの視点からプランニングを
最新の話題をトークに織り込む方法

【通達への対応を確認する】 事務ガイドライン2-2-(8)-A
 がん終身保険や払い済保険の処理について通達が出た以降は、原点に戻って販売しようという流れがより明確になってきたのではないかと思う。
たしかにこういう時代なので、保険販売は一筋縄では行かない。そこへきて比較的反応がよかった節税プランが“封じ込められた”となると、なす術がなくなったような感覚に襲われるかもしれない。
 ただ、役員や従業員が死亡したり病気やケガをするリスクをカバーしたり、退職金の原資を準備するニーズがなくなったわけではない。ここが保険販売の原点であるとすれば、いかに「ニーズ喚起」をしていくか、コンプライアンス念頭に置きながら正確な情報を提供していくほかないだろう。売り手の利益誘導は絶対に避けなければいけないし、あくまで選択肢の提供とアドバイスの役割に徹することが求められる。

 当社でご紹介をいただく法人も、「がん」にしても「逓増定期」にしても節税を目的で加入しているお客さまが多い。先日も、通達がらみで「保障内容を確認しても らいたい」といった依頼があり、証券を見てみると、従業員に対する「がん保険」「2 分の1 養老プラン」、役員に対する「逓増定期」は、第一義的には節税がらみのプランだった。
 バブルの崩壊以降、安定した利益を上げ、ここ数年さらに売上を伸ばしているとなれば、社長の頭の中に保険=節税の図式ができあがったとしても無理がない。
通達が出て驚いたのだろう。「こんなものを勧めて……」と、知人に相談し、そこから訪問の依頼を受けた。

 そこで、まず原点に帰ることを提案。役員・従業員の福利厚生について、保険を活用してどんなことができるのかを説明した。ここでは、まずがん保険を医療保険にすることを提案し、税務上のメリットも期待するのであれば「終身タイプ」の商品を、この際、保険料負担を軽減するというのであれば、「保険期間10 (15 )年」の商品を、ということでお話しした。
従業員の福利厚生という観点からすれば、がんだけを手厚く保障するより傷病全般を保障した方が理にもかなっている。


 養老保険も保険料の負担を軽くする一方、解約返戻金もある程度確保したい、との希望には「超長期」の定期保険で対応することになった。
ここでの注意点としては、否認されないように、保険料は全期払いを提案した。結果として保険料の圧縮に繋がったため、役員退職金の原資をより充実させてはどうか、とお話しした。この場合、年配の役員には逓増定期保険、若い経営者は超長期保険と使い分けた。

 ところで、冒頭の通達について、ここ数ヵ月面談した経験からすると、経営者の認知度は低いようだ。たまたま紹介を受けて訪問したような会社で、通達のお話しをすると、一様に驚く。決算月が訪れれば否応なしに分かるのだろうが、情報として早く分かれば対策の立て方も変わってくるはずだ。情報提供をかねたアフターフォローは、叱責を受けることになるかも知れないが、ミスリードでない以上、最終的には「じゃあ、どうすればいいんだ」という話しに落ち着くはずである。

 ただ、税務上のメリットだけを訴えてきたトークから一歩踏み込もうとするならば、財務諸表を理解できないと、十分なアプローチができない。最近は、保険会社が実施する代理店研修でも、財務諸表の基本的な読み方は理解している、との前提で行うものが増えてきている。事実、お客さまの前で終身保険に加入するとBS /PL がどうなるのか、定期保険ならどうなのか、というだけでも話の取っ掛かりができる。言い方はいろいろあると思うが、「損金で落とすだけが保険加入のメリットではない」と財務諸表上で説明できれば、プランニングに幅ができるのではないか。

【先行き不安と今期の対策が混在】
 テロ事件以降、先行きの不透明感が強くなってきており、今まで順当に利益を出しているような企業ですら、業績に不安感を持ち始めている。例えば、保険料が比較的高額になる逓増定期保険などをプランニングしても「果たして5 、6 年後まで保険料が払えるだろうか」と懐疑的な反応が増えている。

 では、なぜ逓増定期保険を選択したのか。その一方で、前述の社長のように、利益が出ている場合、損金で落とせなおかつ解約返戻率がどれぐらいになるのか、といったニーズが強いからだ。お客さまが一本筋を通して納得してくれればいいのだが、基本的にはメリットだけに目が向いてしまう。売り手もメリットばかり強調するわけにはいかない。ミスリードにならないようにデメリットも十分に説明する。そういった意味では、最初に逓増定期保険一本でお話しするのもいいかもしれない。その上でデメリットをカバーするための方法として、折衷案でプランニングしていく。

 機能の異なる商品を組み合わせて提案し、メリットとデメリットを相殺させる。終身保険+逓増定期または長期平準定期保険、逓増定期保険+短期の定期保険、変額終身保険+定額終身保険など、ニーズにより組み合わせていく。これこそ、複数の商品を扱っている代理店の真骨頂でもある。

【セットでニーズに応える】
 1 つ例を挙げよう。紹介を受け訪問したA 社長は、取引先や親類などのつき合いで、複数会社から生命保険に加入していたのだが、うち1 本について、担当者が定年退職し義理がなくなったので、見直してくれないかとの依頼を受けた。その際、2 つのポイントを要望された。

 1 つは、退職金原資の確保、そしてもう1 つは借入金返済のための死亡保障を確保すること。このオーナーは比較的年齢が高く、勇退時期も12 〜3 年後とはっきりしており、勇退までに、借入金の返済を終え後継者にバトンタッチしたい、と考えていた。
 これを逓増定期だけでプランニングすると、加入当初の死亡保険金が低くなるため、借入金の残債と連動しなくなる。だからといって、保険金をアップすることは(そもそも契約年齢がアップしているので)支払い可能な保険料と関係で無理がある。退職金の原資は他にも貯蓄性の商品に加入しているため、それと合算で予定額を確保できればいいと言う。

 いずれにしても、二律背反的なニーズにどう応えるか。そこで、逓増定期保険と逓減定期保険を組み合わせた。文字通り「逓増」と「逓減」と相反する定期をセットしてみた。
さらに、社長から解約返戻金は保険料に充当してもらいたい、とのことだったので、終身タイプの医療保険をセットすることにした。全期前納払いにした保険料は約670 万円。
終身なので、引退した後も名義を変更すれば、個人として保障を確保することができるほか、80〜90 歳で解約した場合の返戻率が9 割近くになることも見逃せないポイントとなった。

 シミュレーションでは勇退時に全て解約することを前提にしたが、もちろん、医療保険だけ残すことも可能だ。(図表参照)

【相続対策こそベーシックな視点で】
 代理店にしろ、営業職員にしろ、目をつける企業は同じだ。いくら紹介だからといっても、他社もどこかの紹介で来ている。社長にしてみれば、優劣をつけられないケースも多いはずだ。さらに、商品的な切り口ばかりでは、大同小異なので「またか」と思われてもしかたない。差別化を図る意味でもタイムリーな話題を提供するもの一つの手だ。

 中小企業の場合、生命保険との接点を明確にするため、古くから事業承継や相続を切り口としてきたが、ごくごく初歩的なことが浸透していない。例えば、死亡退職金と生命保険の保険金の非課税枠をきっちりと使っているかも話法のポイントになる。法人契約しか加入していないよう場合は個人契約を、逆に個人契約しかしていないケースは法人契約をプランニングしていく。

 個人契約しかない社長なんているのだろうか、なんて思うかもしれないが、「保険には十分入っている……」という社長でも、よくよく話しを聞いてみると法人契約が1 本もなかったりする。スモールビジネスの場合は、経理をきちんとやっているような会社であっても、個人事業から法人化したようなケースでは、個人契約のままになっていることもあるのだ。そこで、死亡退職金を会社から払う、ことの税制上のメリットをお話しする。

 ところで、相続や事業承継の話しを、現役の社長であり父親と後継者であり専務の息子がいる場合、どちらに話をもって行くべきか。一般的には専務にもっていた方が切実な話題として耳を傾けてもらえるようだ。

 会社を興し一人でここまで築き挙げてきた社長は「息子も苦労をしなければダメ」と思っている人も少なくない。事業承継も話しとしては理解してもらっても「それはオレが死んでから後を継いだ息子が対処すること」などと言い放ってしまう。それなら専務に話した方が、自分の問題として捉えてくれる。

自社株の取得

【「金庫株」解禁を話題にする】
 また、相続・事業承継がらみ言えば、10 月1日からいわゆる「金庫株」が解禁になったことから、この話題を媒介にするのもいい。「金庫株」の解禁は、意外と認知度が高いのだが、中には安い価格で、会社に株式を買い取らせることができるのではないか、と思い違いをしている社長がいる。そんなとき『週間税務通信』の一節が脳裏を過ぎる。

 「売買価格をいくらにするかは基本的には当事者間の自由であるが、オーナー社長が相続税を軽減する目的で、所有する株式を意図的に低い価格で自社に買い取らせるようなケースでは注意が必要になる。こうしたケースでは、個人から法人に対して贈与や定額譲渡があった場合の譲渡所得の計算の特例を定める所得税法59 条に抵触するか
どうかの検討が必要になる」(2001 年7 月16日号)。

 時価の2 分の1 未満で譲渡を行った場合は時価で譲渡されたものとして譲渡所得税が計算される、というのだ。従来の自社株の売買には、「相続開始後1 年以内に行わなければならない」などの足かせがあったが、今回こうした規制が緩和されたものの、それが直接、相続発生時の自社株対策にするものではないようだ。

 結局、購入資金は「配当利益の範囲」でという部分は変わっていないので、そもそも利益減少局面でどうやって資金を手当てしていくのか、といった問題もあるだろう。前述のように、購入できる範囲で価格を下げて会社に売ってしまうこともできない。となれば、「相続発生時に必ず保険金が入ってくる生命保険ほど理にかなった商品はない」と訴えることができる。

 「金庫株」が解禁になって、むしろ自社株の買い取りと生命保険の関係が話しやすくなっているのではないか。いままでだと自社株買い取りの話しからスタートしていたトークも、その前段として「金庫株」というタイムリーな話題を持ってくることで、自社株買い取り、その資金は?という流れを作りやすくなった。

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